あなたは、質の良い睡眠を得られていますか?
近年、不眠で悩む人が増加傾向にあるといいます。
下記に「睡眠の質」の簡単なチェック項目を準備しました。一度、ご自身がいくつ該当するかを数えてみてください。
- 仕事が忙しいと眠れずに頑張ってしまう。
- 眠られないのが異常だとは思わない。
- 面白そうなことでもやる気が出ない。
- 毎日眠る時間がバラバラである。
- 自分は眠らなくても大丈夫な体質だと思っている。
該当する項目が多いほど睡眠の質が低いと考えられますが、ひとつでも該当する方は注意が必要です。
今回は、プラセンタ特別講演会で紹介された「良質な睡眠」についてお伝えします。
ぜひご自身の健康管理にお役立てください。
目次
現代人の睡眠事情とは?
(厚生労働省:平成 27 年 国民健康・栄養調査結果の概要)
年齢別睡眠時間(男女別)のデータによると、40代・女性の睡眠時間が少ないと分かりました。
育児などで忙しいためか睡眠時間を確保しにくいのかもしれません。
また、2005年と2010年の睡眠時間の変化を比較した場合においても、40代以降から睡眠時間が少なくなることが分かりました。
なぜ睡眠時間は年々少なくなっているのか?
過去30年間(1976年から5年ごとに2006年まで調査)の睡眠時間について調べてみると次のような結果が出ました。
男女ともに「食事時間」の項目は変化が少ないものの、「睡眠時間」が短くなっていたのです。
一方、「身の回りの用事のための時間」は増加していました。
このことから、身の回りの用事に費やす時間が増加したために、睡眠時間が減少したのではないかという仮説を立てることができます。
睡眠不足が与える体への影響
睡眠の質は、脳卒中、歯周病、花粉症の原因になるとされています。
●脳卒中
脳細胞から老廃物を排出するシステム(Glymphaticシステム)があり、睡眠によって脳がリフレッシュされることが証明されています。
つまり、眠らないと老廃物が排出されないということです。
●歯周病
7~8時間の睡眠時間を確保できていない人は、歯周病になるリスクが2.4倍に上がると考えられています。
睡眠不足による免疫力の低下が原因で歯周病菌からの攻撃を受けてしまうからです。
●花粉症
免疫力やホルモンバランスが崩れることが原因で症状が悪化してしまうといいます。
花粉症の症状が出てしまい、さらに免疫力が低下し症状を悪化させるという悪循環に陥ることも考えられます。
そのほか、睡眠不足によって免疫力や抵抗力が低下し風邪を引きやすくなったり、食欲を増すホルモンが分泌され太りやすくなったりするなど、睡眠不足は体にあらゆる影響を与えます。
良質な睡眠をとるためのポイント
良質な睡眠を得るためには、いくつかのポイントがあります。
●目覚まし時計の最適な置き場所
目覚まし時計を置くならば、鏡の近くが良いという考え方があります。
さらに、朝日が当たるような場所だと効率よく起きられるとされています。
本来、人間は自分自身に関心が強く向いている動物です。
そのため、鏡に自分の姿を映すと、意識を自分に集められるといいます。
また、朝日を浴びることで時計遺伝子にスイッチが入り、目を覚ますことができます。
●時計遺伝子
時計遺伝子は、体中の細胞に含まれています。
朝日を浴びることで目から刺激が入ると、脳の遺伝子のスイッチがONになり、朝食を食べることで消化器系の遺伝子のスイッチがONになります。
スイッチがONになってから一定の時間が経つと、メラトニンが分泌され睡眠を誘導します。
人間の体には、こういった1日のリズムがあり、朝食をとることがホルモンの伝達に関わっていると証明されています。
また、体内時計は眠気にも反映しているため、午前中に自然の光を浴びることが重要です。
●体内時計と生活習慣
労働の程度によって冠動脈疾患(心臓の病気)を患うリスクが異なると考えられています。
昼だけの労働の人の生活習慣病(冠動脈疾患)のリスクを100%としたとき、夜勤だけの人は125%、シフト労働の人は225%に高まるというデータがあります。
また、睡眠時間と死亡リスクの関係性を示したグラフを見ると、睡眠時間が長すぎても短すぎても死亡リスクが高まることが分かりました。
睡眠時間は、7時間程度が好ましいと考えられており、疲れをとるためにも時間だけでなく質にこだわった睡眠をとることが大切です。
●二度寝
二度寝したくなった場合、日の当たるところで10分程度に留めると良いでしょう。
睡眠中は体温を下げておいた方が良いと考えられていますが、朝起きるときはシャワーを浴びて体温を上げると良いと考えられています。
特に太い血管が通る首元や鼠蹊部を温めるとより効果的です。
また、昼寝前にコーヒーを飲むと良いとされています。
眠くなってからコーヒーを飲むよりも、眠くなる少し前に飲むとカフェインの効果が昼寝から目を覚ますタイミング(約20分後)と合うため、目覚めの良い昼寝をとることが可能なのです。
●朝食
朝食には、バナナやヨーグルトなどが適しています。
バナナはドーパミンを活性化させ、ヨーグルトやアイスクリームは脳を活性化してくれます。
●睡眠時無呼吸症候群
いつも昼に眠くなる人は、「睡眠時無呼吸症候群」の可能性あります。
そのほか、肝臓の調子が悪い人やうつ病で悩んでいる人も不眠のケースが多いとされています。
スマートフォンが発するブルーライトはメラトニン(眠気を誘うホルモン)の分泌を遅らせる作用があるため、入眠に支障をきたす場合があり注意が必要です。
夜には照明器具やスマートフォンなどの強い光を見ないように心がけましょう。
●夕食
カフェインを含む食品(緑茶やチョコレートなど)を摂らないようにすることがポイントです。
逆流性食道炎になる可能性があるため、食べた後すぐに横になるのも避けましょう。
●入浴
入浴によって脳が覚醒する可能性があるため、寝る直前の入浴は避けた方が良いと考えられています。
入浴する場合は、暗い空間でぬるめの温度につかり、アロマを活用してリラックスするのもひとつの手段です。
睡眠中には約200ccの水分が失われると考えられているため、寝る前にノンカフェインの飲み物を飲むように心がけましょう。
●サーガディアンリズム
人間の体にはホルモンの分泌や行動のリズム(サーガディアンリズム)があります。
朝起きたときから睡眠前のメラトニンの分泌まで体内リズムがあるため、このリズムを崩さないことが健康に生活するうえで重要です。
このように、睡眠時間にはさまざまな要素が関わっています。
沢山のことに気をつけなければならないと考えると、つらく感じるかもしれません。
しかし、今回紹介した良質な睡眠をとるためのポイントは、どれも生活に取り入れることができることばかりです。
ぜひ、できることからご自身の生活に組み込んでみてください。
毎日の積み重ねが快適な睡眠へと導き、健康な体づくりに役立つはずです。
(ライター:南條祐弥)