老化の原因のひとつ「酸化ストレス」とは?

老化の原因には、「酸化反応」「糖化反応、」「炎症」があります。

もちろん老化の定義は慢性炎症であるという捉え方もありますが、今回は、プラセンタ特別講演会で紹介された「酸化ストレス」についてお伝えします。

酸素消費量と寿命の関係

老化の原因のひとつである酸化反応に対するストレス応答として「酸化ストレス」があります。動物において時間の概念は異なり、酸素消費量と寿命の関係が違います。マウスのような小さな動物は、心拍数が多く1分間で何百回も行われるため、酸素消費量が高く寿命が短い。その一方、ゾウのような体の大きな動物は、心拍数が少なく体のサイズに対して酸素消費量の比率が低いため、寿命が長いと考えられています。人間がゾウよりも心拍が早い割に寿命が長い明確な理由は分かっていませんが、医療の充実がひとつの要因かもしれません。

寿命の研究には、ショウジョウバエがよく用いられます。世代交代が早く、実験がしやすいためです。ショウジョウバエの生存率を調べたところ、100%の酸素(濃い酸素)を長時間与えると寿命が縮むことが分かりました。通常の空気の酸素濃度(30%程度)で育ったショウジョウバエに100%濃度の酸素を長い時間与えれば与えるほど寿命が短くなったのです。

ミトコンドリアをエネルギー源に

人間がマラソンを走り切るには、糖のエネルギーだけでは足りません。それでも走り切れるのはミトコンドリアが作り出したエネルギーが存在しているからです。糖ではなくミトコンドリアを上手に活用すれば、持久力を伸ばすことができます。

人間の体は糖がエネルギーになっているため、糖が入ってこないと体のサイクルが低下します。そうすると、ミトコンドリアが酸素を吸収し二酸化炭素を排出し、エネルギーの元になるようなものを作ります。その結果、長寿遺伝子が活性化し、蛋白質が元気になりミトコンドリアがたくさん作られるのです。

ミトコンドリアは燃費が良く、酸化ストレスの少ないエネルギー源です。体にとって酸化ストレスが少ないため、健康長寿に繋がると考えられています。今後、ミトコンドリアの研究が進めば、私たち人間は疲れ知らずの体を手に入れることができるかもしれません。

(ライター:南條祐弥)

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