「ジェネリック医薬品」という言葉をご存じでしょうか?
近年では、医療の現場でもよく耳にするようになりました。
しかし、ジェネリック医薬品とはそもそも何なのか、あまり理解していない人が多いのも事実。
今回は、プラセンタ特別講演会でも紹介された「ジェネリック医薬品」についてお伝えいたします。
新薬と同等と認められた低価格な薬
現在、医薬品業界は過渡期にさしかかっています。
その契機のひとつとなったのが「ジェネリック医薬品」です。
ジェネリック医薬品とは、新薬として製薬会社が特許を取得し製造をしていたものを、特許の有効期限が切れたのちに、別の製薬会社でもその薬を製造できることとなり、生まれた薬のことをいいます。
特許の有効期限が切れたことで、成分や有効性が同じ薬を安く作ることができるのが特徴です。
ジェネリック医薬品は新薬と同等と認められた薬でありながら、開発費がかかっていない低価格な薬なのです。
ジェネリック医薬品のメリットとデメリット
ジェネリック医薬品の登場は、消費者側には安く薬を手に入れられるというメリットをもたらし、国側には医療費を安く抑えられるというメリットをもたらしました。
しかし、ジェネリック医薬品はメリットだけでなくデメリットももたらしています。
新薬に関しては「2010年問題」が記憶に新しいかと思います。
実は、2010年は薬の特許の有効期限が相次いで切れてしまった時期だったのです。
薬は、開発から販売までに約10年かかり、1500億円のコストがかかるとされていますが、1980年代~1990年代は多くの薬が開発されましたが、その特許の有効期限が2010年に相次いで切れてしまいました。
その結果、薬を開発した大手製薬会社の利益は、ジェネリック医薬品の登場によって失われてしまいました。
大手製薬会社は、薬による利益を投資して新薬の開発を進めていますが、利益が減ってしまうと開発に手が回らなくなり、ジェネリック医薬品によって、安価に薬を手に入れられるようになった一方で、難病の薬が開発できなくなってしまう恐れがあるのです。
未だに治療法が見つかっていない病気に対するニーズのことを「アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)」と言いますが、今後はこういった原因が分からない複雑な病気の薬が開発されない事態に陥るかもしれません。
ジェネリック医薬品から恩恵を受けている人がいるのも事実です。
しかし、今後の医療業界の問題を無視することはできません。
これからは、ジェネリック医薬品のメリット・デメリットを理解したうえで活用することが大切になるでしょう。
(ライター:南條祐弥)