今までも、がん細胞についての研究が進められてきましたが、エクソソームについての研究が進んだのは比較的最近のことです。
コラム『がんの転移先は予測できるのだろうか?「エクソソーム」の影響って?』を読むと、エクソソームは悪い働きをするものだと感じた人もいるかもしれませんが、エクソソームの研究が進むことで良い成果も生まれつつあります。
今回は、プラセンタ特別講演会で紹介された「エクソソーム」の研究例をご紹介します。
目次
がん、脳腫瘍とエクソソーム
膵臓がん
膵臓がんからエクソソームが分泌されると、免疫担当細胞のマクロファージが攻撃できないようになってしまうことが分かっています。
乳がん
また、乳がん細胞から分泌されるエクソソームは、脳転移を促進することも分かりました。
乳がん細胞から分泌されるエクソソームの中には、マイクロRNAが入っているため、脳に危険な物質が入らないように見張っているフィルターであるBlood-brain barrier(BBB)を壊して通過させる働きがあります。
乳がんが脳転移しやすいといわれているのはこれが理由です。
エクソソーム中のmiR-181cの影響で、悪いものがBBBを壊して通過してしまい脳腫瘍を引き起こすのです。
しかし、その性質を逆手に取り、脳腫瘍に効果のある薬をエクソソームに封じ込めて脳に送れば、BBBを突破して脳に届けることができるのではと期待されています。
エクソソームの研究が進めば、脳腫瘍の治療に繋がるかもしれません。
エクソソームの行き先
国立がんセンターの研究で、エクソソームの行き先を見つけ出す画期的な技術が発見されつつあります。
それは、エクソソームの表面に対応する抗体を結合させ、目印にビーズをつけておく方法です。
ビーズはバラバラに動いていますが、ビーズとビーズの距離が一定の距離に近づくと光るようになっています。
その仕組みを活用し、ビーズが集まり光を発した箇所を調べることで、エクソソームの行方を突き止められるかもしれないと研究が続けられているのです。
エクソソームの表面から出ているCD63の抗体を注射しておくと、エクソソームに阻害物が付着し、エクソソームが体内に取り込まれないようになります。
このようにエクソソームを処理することで転移抑制できると考えられており、臨床実験が行われています。
そのほか、グレープフルーツの果汁にもエクソソームに似た小胞顆粒があるといわれています。
アメリカでは、NIHが中心となり、脳のフィルターであるBBBを通過させる仕組みを利用して、特定のマイクロRNAを運びこむことで、脳腫瘍の治療に繋げようと急速に研究を進めています。
また、エクソソームの中身を変換して体内に戻すことができれば、エクソソームを病気の治療に活かすことができます。
がん細胞から分泌されるエクソソームの伝達を阻止できないか、がんから放出されたエクソソームを取り除けないか、悪いエクソソームの細胞を取り込まないようにできないか、多様な角度から研究が進んでいます。
エクソソームの研究が病気の治療に繋がる
タウ蛋白などの特殊な蛋白が現れるのが神経変性疾患の特徴ですが、エクソソームの活用は、治療に繋がると期待されています。
若いマウスと年老いたマウスの血管を繋ぎお互いの血液を循環させる実験を行ったところ、年老いたマウスの血管が若返るという結果が出ました。
そして、年老いたマウスの認知機能や脳血管の加齢を制御できたのです。
この現象も、エクソソームが関わっているのではと考えられています。
このように、エクソソームについて分かったことは悪いことだけではありません。
エクソソームの研究は、がんやアルツハイマーなどの早期発見に繋がる可能性もあります。
エクソソームはがんの転移先に影響を与えるだけでなく、使い方次第でがん治療やアンチエイジングの役に立つのです。
エクソソームの研究が進めば、病気の治療の可能性が広がります。
今後の研究からますます目が離せません。
プラセンタとがんの関係について研究が進んでいます
美容業界で名前を聞くことの多い「プラセンタ」ですが、実は医療業界からも注目が集まっています。
新しい時代の医療の分野で、今後プラセンタの活躍が期待されています。
薬以外の選択肢を知ることで、自分らしい治療の実現に役立つ可能性があります。
プラセンタ講演会
一般社団法人 国際抗加齢免疫医学学会
理事長 団 克昭博士
プラセンタ講演会レポートバックナンバー
▼参加ご希望の方は、こちらより必ずご予約をお願いいたします。
団 克昭博士によるプラセンタ特別講演会
※ご参加の方全員に、無料サンプルをプレゼント中!
参加は無料です。しつこい勧誘なども一切ございませんので、お気軽にご参加ください。
(ライター:南條祐弥)