コレステロールが溜まると、血管の壁が厚くなるため危険とされています。しかし、「日本脂質学会」と「日本動脈硬化学会」が対立的な意見を持っているように、コレステロールに関しては賛否両論の意見があります。
今回は、プラセンタ特別講演会で紹介された「コレステロール」についてお伝えします。
LDL値が高い方が、死亡リスクが低い!?
現在、コレステロール値を下げる薬としてスタチン系の薬剤が処方されています。肝臓は、コレステロールを合成するために、「アセチル-CoA」の代謝を進ませて、コレステロールに代えるという反応を行っています。コレステロール値を下げる薬には、この反応を促進する還元酵素の働きをブロックして、コレステロールを作りにくくする作用があります。しかし、コレステロール値を下げる一方で、筋肉障害や神経障害などの副作用があるとされています。
そのほか、コレステロール値は、高いほうが良いかもしれないというデータもあります。伊勢原市民のLDL値と総死亡数との関係を調べたところ、LDL値が低い人の死亡リスクが高いという結果が出てきたのです。このことから、LDLが高い方が長生きできるのではないかという見方がされるようになりました。
コレステロールの8割は、体内で作られる
コレステロールは、脳に伝達する機能を持っているため、体には必要なものです。悪玉(LDL)には、血管の内側にコレステロールを押し込む作用があり、善玉(HDL)には、押し出されたものを引き出す作用があるように、LDLとHDLは違う働きをしているため、両方ともなくしてしまえば良いという単純な話ではありません。
日本の健康診断の基準は、世界一厳しいといわれていましたが、健康診断の検査基準が変わり、数値に振れ幅が設けられたり、年齢別に細かく数値が設定されたりする項目ができました。ただし、健康診断の際には従来値や新基準に踊らされるのではなく、個人の基準値に着目するほうが大切なのではないかと団博士は考えています。
体の大切な成分であるコレステロールの8割は、体内で作られます。つまり、食べ物から摂取しなくてもそれほど気にする必要はないのです。むしろ、食生活の部分を改善するだけではあまり意味がないとも考えられています。偏った食生活をしなければいいという心構えで、神経質にならずにコレステロールとつき合っていくようにしましょう。
(ライター:南條祐弥)
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