がん検診は限界とリスクを理解して受診をしよう。

がん検診

日本人の2人に1人は一生のうちで一度はがんに罹ると言われている時代。
決して他人事ではありません。

国や企業の健康診断でも、がん検診を受ける機会が増えています。
毎年欠かさず人間ドックに行っているという方も少なくないでしょう。

検診を行うことで、自覚症状のないうちにがんを発見できるというメリットがあります。
多くの場合、がんは自覚症状が出るころには手遅れになっている場合が少なくありません。
特に若い人ほど進行が早いと言われます。

しかし、「毎年がん検診を受けているから大丈夫」と言い切れるかというと、そうでもないのです。

がん検診にも限界がある

がん検診にも限界

国が指定する検診項目は、「胃がん」「大腸がん」「肺がん」「乳がん」「子宮頸がん」の5つです。

男性の死因トップが肺がんであり、女性は大腸がんです。その他の3つのがんも日本人に多いがんであり、検診によって早期発見を促しています。

しかし、検診を受けたからと言って必ずしも助かるというわけではないのです。
特に喫煙歴のある肺がん患者の場合は進行が早く、毎年検診していても発見した時には進行が進んでいるケースがあるそうです。

がん検診のリスク

がん検診のリスク

がん検診は限界があるだけではなく、リスクもはらんでいます。

検査の中には、体に負担のかかるものもあります。
特に免疫力や体力の落ちた高齢者が検査を受けたり、治療をおこなうことでかえって弱ってしまうということもあるそうです。

また、まだ悪さをしていないがんをやっつけることが必ずしも本人にとっていいことかどうかというのも難しいところです。
がんの三大治療法と言われる「外科手術」「放射線治療」「抗癌剤治療」はどれも、患者にとって負担が大きく、がん細胞だけではなく健康な細胞や部位まで傷つけてしまうおそれがあります。

もちろん、がん検診は早期発見という点で有意義なことではあります。
実際私も、国が定める子宮頸がんの検診に行きました。

けれど、検診を万能の発見器と思ったり、検診のリスクを考えないで受診を繰り返すことはある意味危険なことでもあります。

前回の記事(賢い取捨選択で、医療をよりよく。Choosing Wiselyとは?)でも触れたように、自分にとって必要な検査、治療を、検診する側だけでなく受ける側もしっかり見極めることが大切だと感じます。

リスクの少ない選択肢が増えつつある

リスクの少ない選択肢

人間ドックで行われる検査や、保険適用の検査とは別に、製薬会社などがこぞって研究を進めているのが「遺伝子検査」とはじめとする検査です。

これらはまだまだ発展途上の方法ではありますが、患者にとって負担の少ない方法が取られる場合が多く(尿検査など)、さらに細胞レベルの初期段階でがんを発見できると期待が高まっています。

近い将来、死因から「がん」が消える日が来るかもしれません。

(ライター:陽月深尋)

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