抗がん剤に代わる治療法!? 注目が集まる最新研究情報

現在、抗がん剤は100種類くらいあります。抗がん剤には、全身にがんが散りばめられていることを想定した「全身療法」のために用いられるという特徴があります。そのため、白血病や悪性リンパ腫など、手術が有効でないがんに効果が期待できる治療法といえます。

また、2種類以上の抗がん剤を併用すれば効果が高まるとされています。しかし、抗がん剤には副作用があり、がん細胞のみならず正常細胞にも攻撃をすることは明白です。抗がん剤には効果がありますが、用いることによる弊害を忘れてはいけません。今回は、プラセンタ特別講演会で紹介された「抗がん剤に代わる治療法」についてお伝えします。

がん細胞は抗がん剤を受けつけない?

抗がん剤を用いると、がん細胞は一度抗がん剤を取り込むもののすぐに排出します。また、がん細胞の幹細胞は眠ったふりをして、抗がん剤を受けつけることさえしません。それでも、一般細胞は代謝しているため、抗がん剤のダメージを受けてしまいます。

そのため、抗がん剤は一般細胞にダメージを与えるだけでがん細胞や幹細胞には効果がないという意見も出ています。そこで、免疫チェックポイント阻害剤「PD-1」に注目が集まっています。

抗がん剤に代わる治療法の研究が進んでいます

免疫細胞はPD-1でがん細胞を攻撃しようとしますが、がん細胞は免疫細胞からの攻撃を避けようとします。そのため、がん細胞は「PD-L1」という受け皿を作り、免疫細胞の攻撃にブレーキをかけるのです。その結果、がん免疫が働かなくなってしまいます。しかし、最近はがん細胞を攻撃するために、「PD-L1抗体」でPD-L1をブロックして、免疫細胞からの攻撃にブレーキをかけられない状態にしてからPD-1で攻撃するという仕組みの研究がされています。

PD-L1抗体と「CTLA-4」を合わせることで、がん細胞が免疫細胞をブロックするのを防ぐことができるのではないかとがん免疫の研究者の間で話題になっています。実際に薬として開発されているものもありますが、特定のがんでしか使用が認められておらず、まだ実績の少ない薬です。

それでも、免疫担当細胞ががん細胞を攻撃できる環境を作る抗体が開発されつつあるのは事実。今後の医療技術の進歩に期待が高まっています。いつか抗がん剤に頼ることなく、がん治療ができる未来が待っているかもしれません。

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