健康な人の皮下脂肪にある白色脂肪細胞から分泌される長寿ホルモン「アディポネクチン」。
女性の百寿者を対象に調査をしたところ、血液中のアディポネクチンの数値が高いということが分かりました。
そのため、健康で長生きするために、アディポネクチンは重要な要素であると考えられています。
では、アディポネクチンとは何なのでしょうか?
今回は、プラセンタ特別講演会で紹介された「アディポネクチン」についてお伝えします。
体にどのような影響をもたらすのか、メカニズムやプラセンタとの関わりを要チェックです!
知られざるアディポネクチンのパワー
アディポネクチンは、健康な人の皮下脂肪にある小型脂肪細胞からは分泌されますが、脂肪細胞が肥大して肥大脂肪細胞になってしまうと分泌しないという性質があります。
むしろ、肥大脂肪細胞になるとインスリンに抵抗性を示すような物質をたくさん分泌するとされています。
アディポネクチンの有無が、体にどのような影響を与えるのかマウスで実験が行われました。
その結果、「アディポネクチン欠陥マウス(アディポネクチンがないマウス)」は中性脂肪や血圧の数値が高くなりメタボリックシンドロームを呈しました。
これは、アディポネクチンがないために肥満になったという証明でもあります。
さらに、正常のマウスとアディポネクチン欠陥マウスの血管を比較したところ、アディポネクチン欠陥マウスの血管のほうが硬くなっているというデータが出ました。
つまりアディポネクチンは動脈硬化を直接的に抑制してくれるということです。
高脂肪食に偏った食生活を送ると、中性脂肪の値が上がってしまいますが、アディポネクチンを与えると調整されて値が正常域に下がることも分かっています。
そのほか、アディポネクチンにはさまざまな効果があります。
血管拡張作用によって塩分を排出するため、高血圧や動脈硬化に良い影響を与えたり、燃焼効果によって肥満を予防したりします。
さらに、胃癌のマウスにアディポネクチンを与えると腫瘍が小さくなり、糖尿病患者に与えた場合には、インスリンの効きが良くなるとされています。
インスリンの感度を上げることで血糖値をコントロールできるのです。
このことから、さまざまな体の不調にアディポネクチンが関わっているといえるでしょう。
アディポネクチンとプラセンタの関係性
アディポネクチンの完全体の分子は、体の中で使われていくと切れ端ができ、この断片が長寿に関わっていると判明しています。
実験を行った結果、アディポネクチン(Ad)を50単位入れた場合よりも、切れ端の短いアディポネクチン(gAd)を5単位入れた場合のほうが中性脂肪が下がることが分かりました。
これは、アディポネクチンの中でも、切れ端の短い方が効果が高いという証です。
プラセンタには、アディポネクチンの断片を効率よく作らせる働きがあり、この点でもプラセンタが長寿に効果があることが分かります。
今後、プラセンタを活用することでアディポネクチンの分泌が促進され、健康長寿に繋がるのではないかと期待されています。
団博士は、プラセンタとアディポネクチンの関わりについての研究を進めており、今後も注目していきたいと思います。
(ライター:南條祐弥)