定年退職後のこころと体のバランス、新しいやりがいを考える

定年退職

今年も年度末がやって来ました。
今日で長年勤めた会社を定年退職し、明日から100パーセント自分のためだけに時間を使えるようになった、という方も多いのではないでしょうか。
今までお疲れ様でした。

団塊の世代が退職を迎える十年が昨年で一時落ち着きを見せたとはいえ、日本社会はますます高齢化に向かっています。

四十年間のお勤めを終えて解放感でいっぱいかもしれませんが、実は定年退職後には心身の調子を崩す方が多いのです。
男性における定年退職後の十年間での死亡率が非常に高い、とする調査もあるほどです。

一方で、日本人の平均寿命はどんどん伸びています。
男女ともに八十歳を超えても元気な方が、たくさんいらっしゃいます。

定年してから十年、二十年と生きる上で、心身の調子を整えることはとても大切なことでもあります。

からだの問題

定年退職後の体力

まず会社を退職すると、家から出なくてはならない理由がなくなります。
意識して散歩や運動の習慣をつけないと、運動量が激減してしまうのです。

若い頃よりも筋肉量が減って脂肪も燃えにくくなっている体は、油断するとあっという間に衰えてしまいます。

スポーツジムに通う、犬を飼って散歩を習慣にするなど、これまでとは別の運動習慣を身につけるのがいいでしょう。

こころの問題

こころの問題

体の問題よりも深刻なのは、実はこの「こころ」の問題です。
今まで毎日規則正しく通勤していた義務がなくなり、こころにぽっかりと穴が空いてしまったように感じる人が少なくありません。

仕事が大好きで、これまで趣味もなく仕事一辺倒だった人はもちろん、仕事が特に好きだったわけでもないけれど真面目に仕事に取り組んできたという人も要注意です。

家にいても妻に煙たがられ、外に出ても何をすればいいかわからない。
そんな男性がうつ状態に陥ることは決してありえないことではありません。

好きなことや新しい趣味にチャレンジ

定年退職後の趣味

現役時代から趣味や地域での活動を積極的に行っていた人は、その分量を増やしてみるとそこに新たなやりがいを見いだせるかもしれません。

けれど仕事一筋だった人にとって、趣味を見つけるというのはそう簡単なことではありません。
自分の関心のあることはもちろん、これまで全然興味もなかったようなことにチャレンジしてみるのもいいのではないでしょうか。

これまで他人のために一生懸命頑張ってきたのです。
何も後ろめたく思うことはありません。
自分の気持ちに耳を澄ませて、なんでもトライしてみることでこころも体も元気になります。

第二の仕事で心身に適度な緊張感を

第二の仕事

自分のためだけの趣味ではどうしても物足りない、何か社会に貢献したい、という方もいるでしょう。
こういう方の多いところが日本の素晴らしいところだとわたしは思います。

仕事やボランティアで誰かの役に立つことで、社会の一員としての自己肯定感や、適度な緊張感による気持ちのメリハリがつくこともあるでしょう。

年配の方の仕事といえば「清掃」「警備員」などが多いのが現状です。
ボランティアも、半分暇つぶしのように感じてしまうかもしれません。

けれど、「新しい働き方」が国の目標として掲げられ、定年退職後の働き方も幅広くなってきています。
シニアの起業だって珍しくありません。

弊社では、某大手企業出身の六十代後半の男性が顧問として日々業務をこなしてくださっています。

長く企業に勤めていた経験を活かすも良し。
まったく畑違いの新しい仕事に挑戦するも良し。

定年退職は、あくまでひとつの区切りです。
命が終わるその時まで、生涯現役で楽しく行こうじゃありませんか。

(ライター:陽月深尋)

SNSでもご購読できます。