生命の誕生に欠かせない「胎盤」の神秘に迫る!

「胎盤(プラセンタ)」は、受精卵が着床後に細胞分裂してできるものです。胎盤には、蛋白質やアミノ酸、ビタミン、ミネラル類、各種の酵素など人間を構成するほとんどの成分が含まれています。

胎盤は生命の誕生に欠かせない臓器です。今回は、プラセンタ特別講演会で紹介された「生命の誕生に欠かせない胎盤の神秘」についてお伝えします。

妊娠のメカニズム~卵子と精子~

胎盤の説明をする前に、卵子と精子についてお話します。

原子卵胞はもともと200万個くらいありますが、卵子は生涯を通して400個程度しか使われません。99.9%が自然消滅するからです。一方、精子は約3カ月で作ることができ、たくさんの数が作られます。

卵子は、女性の脳から卵子の成熟を促すホルモンが分泌されて排卵されます。そのタイミングに精子が入ってこなければ受精は成立しません。卵子と精子のタイミングが合い、受精が成立して受精卵になると、細胞分裂され着床します。

精子は体の中で2~3mm/分程度の速度で進むとされており、精子(1億~4億個)は白血球の攻撃を受けて淘汰されていきます。そして、ふるいにかけられて最後に残るのは、力強い1~2匹の精子だけです。その生き残った精子だけが受精できるというシステム。その確率を考えると、受精までに精子が勝ち残る確率は24京分の1と考えられます。これらの確率のなか、勝ち残った精子が受精して今の自分があると考えると、自分という存在を尊いものに感じることができるのではないでしょうか?

生命誕生に関わる胎盤

受精が成立しても、まだ越えなければならないハードルがあります。受精卵は2のn乗個に細胞分裂を繰り返し、8個くらいになったときに大きな判断がなされるのです。ダメだと判定されたものは、アポトーシスします。つまり、この段階で健全な状態と判断された受精卵だけが、次のステージに進むことができるのです。

人間の場合、妊娠3カ月に胎盤としての機能が立ち上がり、妊娠して作られる胎盤は妊娠14週ごろに完成します。そして、胎児とのパイプ役を担うのが臍帯です。胎児の老廃物を母体に流したり、栄養や酸素を供給したりするなど胎盤は非常に多機能な臓器です。ホルモン分泌でさまざまな成長ホルモンを分泌し、酸素を供給。さらに、代謝を行い不要なものを除きます。胎盤は免疫機能をもつ生命誕生には不可欠な臓器なのです。

「自分の存在(命)」は尊いもの

母体の中でひとつの体が完成することは、進化の過程によく例えられています。宇宙が誕生したのが150億年前で、地球誕生は45億年前と考えられています。そして、38億年前に単細胞生物が誕生し、20万年前にようやく新人類が誕生しました。

この進化の過程を妊娠期間である10月10日(とつきとおか)に当てはめると、母体の中での1週間は約1億年に値するそうです。妊娠中はそのくらい濃縮された期間を過ごしているともいえます。人が生まれるということは尊いことなのです。

妊娠から出産は、奇跡の連続といえるかもしれません。今一度、自分の存在(命)に目を向け、せっかく授かった命を無駄にしないように大切に生きていきましょう。

(ライター:南條祐弥)

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