生命とは物質が罹患した病である。
これは、上田岳弘という作家の『異郷の友人』P26に登場する一文です。
彼が言うように、人間という生命が存在するということは、個人差はあれど何かしらの病(少なくとも不調)を抱えて生きていくということなのかもしれません。
未病の百貨店
「未病」とは、まだ病気というほどではないけれど、このまま放置すればいずれ病気になってしまうかもしれない状態です。
最近では、この「未病」の状態で適切に対策をしたり、健康維持に努めることで病気にならないようにする「予防医学」が叫ばれています。
そんなわたしは、言わば「未病の百貨店」です。
大きな病気はしないけれど、小さな不調がてんこ盛りです。
アトピー【画像あり】
わたしは小さい頃からアトピー持ちです。
母の努力の甲斐あって、もうかつてほどひどい症状ではありません。
けれど、少し生活が乱れると、また顔を出します。
わたしには、「精神的にしんどくなると、甘いものや添加物たっぷりのものが食べたくなる」という悪いくせがあります。
夜中まで起きて、スナックやアイスクリームを食べる。
そんなことが続いた後は、当然のごとくまず手が荒れます。
手の皮がむけ、赤くただれ、所々にあかぎれができ、かゆくてかゆくてたまらなくなります。
掻いたら手から血や半透明の体液が出てきて、ガーゼをしてもくっついてしまいます。
このかゆみから抜け出せるなら、もう何もいらないとさえ思うほどです。
同時に、こんなふうに少しの生活習慣の乱れでアトピーが再発するなら、もうどんな仕事にも就けないし、友達と外食もできないし、楽しい人生も送れないんだ、という気分になります。
そんなときは、皮膚科のステロイド薬に頼ります。
これは、ステロイド薬を塗ってかなりマシになった状態です。
「お前と手を繋ぎたくない」と言われた私がアトピーを治した話も併せてご覧ください。
最近になって、小麦に含まれるグルテンで症状が悪化することも気づきました。(あまりに小麦を常食していたので、気づかなかった)
疲れやすさ
わたしは、人よりも疲れやすい傾向があります。
鍛えようと思って運動をしても、それによって疲れてしまいます。
特に、音やにおい、光や人混みに敏感で、都会に出るとぐったり疲れてしまいます。
一人で集中すると比較的よい仕事ができるのですが、それも普通のサラリーマンみたく一日八時間も保ちません。
(ああ、わたしはもうどこでも働けないんだ、と悲しくなることもしばしば)
特に夜になると疲れが顕著で、仕事終わりに家族が映画に行ったりするのにも付いていけません。(わたしは外で仕事をしているわけではないのに、と思います)
予定外のこと、自分ルールに反することも、疲れやすさの一因です。
キャパを越えると、癇癪を起こします。
不眠
合計睡眠時間は十分取れているので、不眠というわけではないかもしれません。
ただ、一度も目覚めずに朝までぐっすり眠れた記憶は、もう何年もありません。
夢見が悪く、寝がえり何度もうち、夜中に三回は目が覚めます。
しかも、一度目が覚めるとなかなかもう一度眠れない。
今でこそ朝の時間を気にせず寝られますが、会社員時代はずっと睡眠不足でした。
(明日の朝寝坊できない!と思うと、余計眠れなくなりました)
うつ傾向
抑うつ状態と躁状態が交互にやってくるのも、疲労しやすい原因の一つになっています。
月経前の二週間くらい「イライラ」「憂うつ」「落ち着かない」などの気分変調に悩まされる「PMS」。
これに始まり、ほんのささいなきっかけで気分が落ち込んだり、混乱したりしてしまいます。
大げさではなく、「死にたい」と本気で思うくらい。
こんなふうに何度も気分が落ち込み、そのたびに寝込んでいる自分は、社会的価値がない。
何の役にも立たない。
それどころか、自分の存在は家族を始めとして、人様の迷惑になる。
だから、生きていることじたいがいけないことなんだ。
こんなふうに負のループにはまっていきます。
便秘
小さい頃から悩まされていることのひとつに、便秘があります。
薬を飲んでも、食物繊維をたっぷり摂っても、のの字運動をしてもだめだった。
このほかにも、頭痛、肩こり腰痛、冷え性など、あげればきりがありません。
未病チェックシート
神奈川県の取り組みで、東洋医学の観点に基づいて自分の健康状態を知る「未病チェックシート」というものを見つけました。
判定結果は……
すぐに喉が乾くので水をがぶがぶ飲むのですが、うまく排出できていないんだとわかりました。
むくみ、手足の冷えに悩んでいるのも事実。
体を冷やす食べものが好きってどうしてバレたんだろう。
そして、寒い中運動したことでかえって体が冷えてしまっていたのも、不調の原因だったのか。
とてもためになります。
すべての不調がつながっている
アトピーを治すにはどうしたらいいんだろう
薬を飲んでもうつは治らない
アロマを焚いても、安らぎの音楽を流しても眠れない
そうやってひとつひとつの症状をつぶしていこうとしていたわたしは、あることに気が付きました。
「一見関係なさそうで、わたしの不調は連動しているのではないか」
つまり、からだに良いものを食べてアトピーが息を潜めているとき、なんだか疲れにくくなっている。
スマホの電源を切って早寝早起きをしたときは、気分が上がりすぎたり下がりすぎたりせず、心地よく過ごせている。
というぐあいに。
すべての不調に一度に対応しようとするから、疲れる。
もうどうでもよくなる。
だから、ひとつの不調をよくするつもりで生活していたら、他の不調もだんだんとマシになっていくのではないか、と思い立ったのです。
それは不調なのか、個性なのか
わたしは、自分の「疲れやすさ」や「アトピー」は個性の一部だと思っています。
いろいろなことにアンテナを張りすぎているから、疲れる。
でもそのぶん、他の人には気が付かないような小さなことにも目を向けられる。
添加物、家事、特定の食品にアトピーがでるのも、大きな病気になる前にからだが教えてくれている。
わたしが目指す健康は、「疲れないこころ」でもなければ、「アトピーの出ないからだ」でもない。
鉄のような強靭な精神や肉体を目指して無理な運動をしたり、食生活をするから、歪みが出てくる。よけいに悪化する。
もしかしたら、わたしの「健康」は社会生活を送るには少し不便のあるスタイルかもしれない。
でも、社会に合わせるのではなく、自分に合わせていく暮らしをしていこうと決めました。
そうしたら、うまく社会に合わせられない自分にうんざりして、自暴自棄になって不健康な生活に走ることもなくなるかもしれません。
根本的に治すべき不調と、寄り添って生きていくことで緩和される不調。
そんなわたしの「千里の道も一歩から」的な健康生活、これからもみなさんと一緒に作っていきたいなと思います。
(ライター:陽月深尋)
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