認知症は不治の病?進むプラセンタの研究

「認知症は不治の病」などと呼ばれるように、改善が難しい症状です。薬が処方されたとしても、その薬は「治す」ものではなく進行を「遅らせる」もの。認知症ご本人やご家族にとって、生活に支障をきたすこともあり大きな問題です。今回は、プラセンタ特別講演会で紹介された「認知症とプラセンタ」についてお伝えします。

そもそも、認知症とは?

「認知症」は、加齢による物忘れではありません。脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりしたことによって障害が起こり、日常生活に支障が出る状態のことを指します。認知症は病名ではありません。まだ病名が決まっていない「症候群」なので、医学的にまだまだ原因などが明らかになっていない状態なのです。

鬱病は急激に症状が出る一方で、認知症は気づいたら症状が出ている。という特徴があります。そのほか、問いかけの受け答えにも差があり、鬱病の場合「わからない」という拒絶した回答をし、認知症の場合は的外れな答えをすることが多いです。

認知症の原因と対策は?

認知症になると脳の「海馬」という記憶を司る部分が縮小するため、記憶能力が低下すると考えられています。認知症は、はっきりと原因が明らかにはなっていない症状です。しかし、今回は研究データを踏まえて原因と対策を考えたいと思います。

血糖値が高い人ほどアルツハイマーの発症率が高い

近年、加齢や遺伝子のほかにも、糖尿病かどうかが認知症に影響すると明らかになってきており、糖尿病とアルツハイマーの関係性に注目が集まっています。

正常な人、軽度のアルツハイマーの人、重度のアルツハイマーの人の、髄液中インスリンと血中インスリンの数値を比較する実験を行いました。するとアルツハイマーが重度になればなるほど髄液中のインスリンが下がり、血中のインスリンが上がるという結果が出たのです。

また、血糖値が高い人ほどアルツハイマーの発症率が高いという結果も出ています。つまり、糖尿病からアルツハイマーになるということは、医療の世界では実証済みということです。糖尿病を予防することがアルツハイマーの発症を抑えることに繋がると考えられています。

トランス脂肪酸」が脳の伝達神経機能を変形させる

トランス脂肪酸は、マーガリンなどに含まれている不飽和脂肪酸で、一定量を摂取するとLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増加させて、心臓疾患のリスクを高めるとされています。現在治療薬がないとされる認知症の原因のひとつとも考えられており、トランス脂肪酸の摂取に警鐘が鳴らされています。トランス脂肪酸は、心筋梗塞等の心臓の疾患、糖尿病、がんを誘発すると懸念されているだけでなく、脳にも有害であると分かっているのです。

なぜなら、トランス脂肪酸は、脳の伝達神経機能を変形させてしまうからです。脳の伝達神経機能が変形された状態が長期間続けば、認知症だけでなく、ADHD、情緒不安定、うつ、集中障害などを招くと考えられています。

食品のパッケージに記載されている加工食品の原材料名に「ショートニング」「加工油脂」「ファットスプレッド」といった表記のものは、マーガリンの仲間で、トランス脂肪酸が大量に含まれている可能性があります。買い物する際には、確認して購入するようにしましょう。

白野菜を食べて認知症を予防しよう!

白野菜(ニンニク、ねぎ、玉ねぎなど)には、「アリシン」という栄養素が多く含まれています。アリシンには、殺菌、抗菌、疲労回復、抗酸化などの作用があります。さらに、加熱することで「アホエン」に変化し、物忘れや認知症などを予防してくれると考えられているのです。普段から、白野菜を食べることを心がけるようにしましょう。

認知症とプラセンタの研究

プラセンタは「ストレス応答」機能を高める作用があると研究で分かっています。ストレス応答とは、ストレスを受けたときに、元に戻そうと反発する力のことです。熱によって形成された抵抗物質は、「ヒートショックプロテイン(HSP)」と呼ばれています。

マウスの実験で、HSP70の数値を引き上げておけば、認知機能が改善したというデータがあります。認知能力の低いマウスを円形プールに入れる実験が行われました。プールの中には、隠れ踏み台(ゴール)があり、正常なマウスならば溺れないように、その踏み台から外へ逃げることができますが、アルツハイマーモデルマウスは、そこに辿り着くことが難しく、何分もプールをさまよいます。しかし、プラセンタを投与し、HSP70の数値を引き上げておけば、プールに入れても早い段階で踏み台に到達できるようになったのです。これは、アルツハイマー病が回復したということを意味します。

治療が難しいアルツハイマー病ですが、生体が持っているストレス応答という能力を高めておくだけで改善できるかもしれない。そして、プラセンタがそれに貢献できるかもしれないのです。今後、研究が発展し認知症改善の医療技術が進むことが期待されています。

(ライター:南條祐弥)

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